It's so easy
現在、自分の生活の中に当たり前に存在している携帯電話やインターネットも、10年ほど前にはまだまだ使っている人は極一部に限られていたので、当時は一般庶民には縁遠い存在だった筈。HPのURLが企業等の広告に載る様になったのが96年頃と記憶しているが、あの頃は「なんだ、この意味不明なアルファベットは?」と眉をひそめたものだ。それが今ではこうしてblogをつけたり、ネットショッピングやダウンロード等を日常的に活用しているので、月日の移り変わりは本当に早い物だと実感する。
自分が好きな音楽にもこのネットの影響は大きくて、10年前には音をCDで聴く事は出来ても、そいつらがどういう風貌でどんなライヴを展開しているか、なんて事はせいぜい雑誌の記事やレポートぐらいでしか知る術は無かった。でも今ではオフィシャルページでダイレクトに情報を得る事が出来るし、ニュースサイトではそれ以上の事細かな情報やゴシップなんかもリアルタイムでアップされている。いろいろな情報を手にする事が出来るのは非常に便利である反面、あまりにも情報過多になってしまって、実際にライヴを見る前に内容を全て知ってしまっている→あまり驚きが無くて楽しめない、なんて事もあるから諸刃の剣とも言えるとは思うけど・・・
でも僕が好きなバンドってマイナーな部類に入る連中や、北欧辺りの日本とは縁遠いバンドのケースが多いので、やはりネットの存在は大きい。たとえば彼ら。
- アーティスト: TNT
- 出版社/メーカー: マーキー・インコーポレイティド
- 発売日: 2005/10/21
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
彼らの場合、中堅バンドにしては珍しく寡作な連中なので新しいアルバムは3〜4年に一枚、なんてペースだったし、目にする事が出来る映像や写真も非常に限られていた。アルバムが3〜4年に一枚、という事はツアーもそれと同じペースで行われるので一度見逃すと次回はいつ見られるか判らない。とにかく大好きなバンドだからCDが出れば真っ先に購入するし、日本に来るとなれば可能な限りの回数、ライヴに足を運ぶのだが、それらが全て終わってしまうと後はまた数年ジッと待つ羽目になる。ファンとしてはこれは非常に辛かった。おまけに92年には3年半ぶりに新しいアルバムが出た、と思ったら即解散するし、97年に再結成した後も、どうもピリッとしない活動振りは相変わらずで「このままフェードアウトかなあ、残念だけど」と思わずにはいられなかった。
21世紀に入ってから彼らはもう一度本腰をいれて再活動を開始したのだが、その時に大きな役割を担ったのがホームページだろう。確かにノルウェーと日本でしか人気は無かったのかもしれないが、相当に高品質な音楽を提供してきたバンドだったので絶対数は少ないかもしれないが、世界中に確かにファンは存在していたのだ。ホームページの掲示板の書き込みを見てみるとアメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、それこそ様々な国の連中が自分の想いを書き連ねている。一度解散した時点でメンバー達も「ノルウェーと日本でしか活動できない事にフラストレーションを感じる」といった発言もしているので、それ以外の国に存在する見えないファンの存在には当時気が付く事もありえなかっただろうし、もしかすると意識もしていなかったかもしれない(VoのTony Harnellはアメリカ人なので当然アメリカでの成功を望んでいたのだが)。しかしながらこういう形でダイレクトにファンの反応を得る事から、今後の活動に新しい活路を見出していったであろう事は想像に難くない。事実、活動ペースも以前と比べて活発化したし、それと呼応する形で北欧圏以外での評価も上がり、去年は久々のニューアルバムとそれに伴うヨーロッパツアーも行われた。アメリカでの認知度の低さは相変わらずだけど、ヨーロッパでの彼らに対する評価はこの数年でかなり上がったので、ようやく彼らの実力にふさわしいポジションを得る事が出来た、と言って良いだろう。
でも日本じゃ当時ほどの盛り上がりを見せていないんだよな・・・ 去年は結局日本ツアーも無かったし。せっかく先月末に新しいアルバム出したんだから今度は必ず来てね。仕事サボってでも俺は見に行くから。
- アーティスト: TNT
- 出版社/メーカー: Island / Mercury
- 発売日: 1990/10/25
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- アーティスト: TNT
- 出版社/メーカー: マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
- 発売日: 1998/02/18
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (9件) を見る