Black Rose

runt51502005-05-25

先日イギリスに発注していたCDが今日届いた。今のイギリスで一番人気があるであろうバンド、The Darknessの2003年のクリスマスシングル「Christmas Time(Don't let the bells end)」だ。確かイギリス国内での限定リリースだった筈なので手に入れるのは難しいかなあと思っていたんだけど、ウェブショップで購入可能な事を知り注文、1週間程で手元に届いた。

The Darknessは70年代から80年代のイギリスのロックバンドに非常に大きな影響を受けたサウンドが特徴で、デビュー当初は「ギャグでワザと古臭い音を出してメディアの注目を受けようとしてるんじゃないの?」なんて色眼鏡で見られる事も多かったのだが、見る見るうちに人気が上昇、ブレア首相までもが「実はファンだ」等と公言して憚らない程の国民的人気バンドになった。因みにブレア首相は若い頃ロックファンで、バンドもやっていたそう。FreeとかAtomic Roosterなんて辺りの渋いブリティッシュハードロックが好みだそうだから、そのブリティッシュハードロックの系譜の上に成り立つ音楽性のThe Darknessを気に入るのも当然かも。

このThe Darknessが大きな影響を受けたバンドの一つがアイルランドThin Lizzyというバンドなのだが、実は僕も10代の頃に大好きなバンドだった。アイルランド出身という事は厳密にはブリティッシュバンドでは無いのだけれど、過去、そして今においてもアイルランドのバンドの主戦場はやはりイギリスのマーケットであり、広い目で見てブリティッシュロックと言って良いのだと思う。今のバンドで言えばThe CorrsとかU2がそんな存在だろうか。

しかしながら独特の民族的文化が発達したアイルランドであるからして、ことロックバンドに関してもイギリス出身のバンドと比較すると大きな差異がある。その一番の違いは社会性が大きく反映された歌詞であったり(長年続いた宗教戦争の影響が大きい)、アイリッシュ・トラッド(ケルト民謡)が導入された楽曲構成と言えるだろう。Thin Lizzyは特にトラッドからの影響が大きいバンドで、その独特の哀感ある楽曲が特に日本人の琴線に触れるのだ。

滝連太郎の「この道はどこへ行く道」という曲があるが、一説によるとあの曲はアイリッシュトラッドの盗用ではないか、との説がある。確かに有名なトラッド「Danny Boy」にそっくりなのだ。偶然か、はたまた盗用かはわかる筈もないのだが、いずれにせよあのメロディは僕ら日本人にとって非常に心地よい物である事は間違い無いし、それと同様の心地よさをアイルランドの音楽に見出す事が出来るのもまた、否定しようの無い事実だ。音楽嗜好という点において日本人とアイルランド人は非常に似ているのかもしれない。

そういえば数年前に爆発的にヒットした映画「タイタニック」もアイルランドからの移民が主役という設定だったからだろう、主題歌の「My Heart will go on」も非常にケルト風なアレンジが施されていた。イントロのメロディなんて完全にケルト民謡風の旋律だったもんね。あのイントロが流れるとグッと来る日本人は多いんじゃないだろうか。